理事長からの食品表示便り


 新年のご挨拶
-新たな食品表示基準等への対応の年に-
名刺記載例

 新年明けましておめでとうございます。皆様方には、新たな年を大いなる希望と発展を期してお迎えされたことと、お慶び申し上げます。
 さて、昨年は食品表示基準等とともに食品表示法が施行されて2年目を迎え、個別食品の表示につき新基準への本格的な切り替えが進むとともに、食品表示に関する積み残しの課題が本格的に検討された年でした。
 特に、残された課題として検討された「加工食品の原料原産地表示」、「インターネット販売の食品表示」及び「機能性表示食品制度において機能性関与成分が未確定のものの扱い」の3課題につきましては、閣議決定された消費者基本計画(基本計画)等においても要検討事項として位置づけられていたことから、各々検討会又は懇談会が設置され、ほぼ1年間をかけて検討がなされ中間取りまとめがされました。
 これらは、いずれも重要で難しい課題ということもあり、熱心な議論が展開され、また、消費者及び事業者両者にとって、大きな関心を持ってその方向性が注目されてきました。
 その結果、昨年末の中間取りまとめ内容等を踏まえ、インターネット販売及び機能性表示食品関係の取り扱いにつきましてはガイドラインとしての対応となる一方で、加工食品の原料原産地表示につきましては、食品表示基準化を前提とした対応という位置づけとなり、昨年12月19日の第2回消費者委員会食品表示部会(表示部会)において、消費者庁から食品表示基準案の諮問を前提とした報告がなされました。
 このように、本年は「加工食品の原料原産地表示」の食品表示基準案の審議が本格的になされることになっております。その内容をみると、昨年の中間取りまとめにおいて、全ての加工食品を対象とし、原則重量順で第1位の原材料につき国別表示をするということを基本に、例外表示として「可能性表示」、「大括り表示」及び「大括り表示及び可能性表示」とともに「中間加工原材料の製造地表示」を認めるということになっています。
 すなわち、これまでは旧JAS法に基づき「品質」を指標とした基準でしたが、今回は「品質」等に関わらず重量順で第1位のものが対象となった点が大きな違いです。また、例外表示が分かりづらいという意見もあるとともに、実効可能性の観点から小規模事業者にとって対応可能か等の意見も表示部会において出されています。
 いずれにしましても、表示部会で出された意見のいくつかは既に検討会においても検討された経緯もあることから、今後は全10回20時間以上に及んだ検討会の中間取りまとめ結果を尊重することを前提として、基準案に対する新たな視点での審議に期待するところです。
 また、この基準案が実際施行された場合、消費者にとって分かりやすいものになるか、また分かりやすく正しい理解をするための普及啓発等を如何にすべきかということはもとより、特に小規模事業者が実行可能かの実態把握や、仮に施行する場合に必要な経過措置期間(現行経過措置期間との関係も含め)等の確認も必要となります。
 そのためには、まずは広く国民に対し、中間取りまとめ内容について丁寧な説明をすることで正確な理解していただくことが第一で、そうした理解のもとに多方面からパブリックコメントを求め、それらを反映して基準化することが求められます。
 また、今後は、表示部会での審議とともに、パブリックコメントの収集及びその結果の解析、並行してWTOへの通告等の手続きもあることから、それらを踏まえると、おそらくこの夏頃には基準が示されるものと予想されます。
 一方、基本計画で示されているもう一つの課題である「遺伝子組換え・添加物表示」についても、新たに検討をすることが予想されます。これらの課題は、「食品表示一元化検討会(平成23年9月〜24年8月)」における検討経過の中で示された中間論点に対してパブリックコメントを求めた結果、主として消費者から最も多く意見が寄せられたことから「課題」とされた経緯があり、いずれも前記の加工食品の原料原産地表示同様、これまで幾多の検討がなされた課題です。もし、検討がなされる場合には、影響力が大きいだけに、正確な情報のもとに慎重で十分な時間をかける必要があります。
 以上、本年の食品表示を巡る施策の動向を記しましたが、食品表示のルールは常に変わる傾向が続いており、それだけに消費者及び事業者にとっては正確な把握に努めることが求められます。特に、事業者は、「お客様である消費者以上に、ルールを理解しておくことが必要」という心構えが重要であることは言うまでもありません。
 弊協会としては、本年も、引き続き検定制度やテキストの提供、フォーラム・セミナーの開催等を通じて、正確なルールの普及促進とともに、理解度の客観的な評価に資する事業を積極的に展開する所存です。
 そして、これらの取組が、我が国の食品表示制度の適正な運営に寄与し、消費者と食品提供者との信頼の絆の一助になることを期待しています。
 最後に、本年が皆様にとりまして、益々健康で一層の発展の年になりますことを心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

(以上、平成29年1月1日現在)

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